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オートバイの旅日誌(4)アラスカハイウエー(USA) [1-アラスカハイウエー]

オートバイの旅(玉井洋造の旅1976) 日誌


(4)-1976/08/16 アラスカハイウエー(USA)


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1976/08/16  アラスカの国境


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 体がだるく起きるのがつらい。朝から雨が降り続き、路面はぬれていた。
 森林の中を進むとアスファルト舗装に変わった。そこがカナダとアラスカ州(USA)の国境で、それを示す看板があった。日本を離れてから最初の目的地について。大感激。そのことを誰かに話したいが、自分ひとりだ。寒く冷たい雨は、アラスカ入国にふさわしく、その自然の厳しさを知る思いだ。
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 アラスカ側の国境事務所は、山の中の道路をまたぐようにして建っている。バイクの通関手続きに手間取って、日本の3世の若い係員と親しくなり、サクラメントの彼の実家の住所まで教えてもらった。
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 コーヒーを飲んだ店で、36歳になる金髪のアメリカ男とあった。仕事を見つけるために、アンカレッジまで行くそうだ。荷台には小さなカバンが1つだけ積まれている。まるで家出のような姿だ。
 「また、どこかで会おうや」と言ってこのシー君と別れれるが、行き先が同じフェアバンクスなので、その後たびたびであった。私がスーパーマーケットで買い物していると、シー君が私のバイクの横でニコニコしながら待っていたりする。
 夕方、私たちはテリン・ジャンクションでキャンプ。すでに私はパンとサラミソーセージだけの食事になっていたが、お互いの食料を分け合って食べた。シー君はスープを暖めた。
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 夜、雨が降り出した。シー君はテントを持っていなかったので、私のテントに入るように誘ったが、彼は断って大木の下で頭からビニールシートをかぶって寝てしまった。次の日の朝、心配して「寒くなかったか。雨に濡れなかったか。」と聞いてみたが、彼はよく眠ったらしく、目をこすりながら「ああ、よく寝た」と言ったものだ。
 私は朝のバイクの点検があったので、彼が先に走り出した。そして昼頃に、私が何も知らずにカフェーに入っていくと、そこにちゃんとシー君がいた。
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 4時半までバイクを進めて、マッキンレー山公園に手前でキャンプする。谷の中の道路わきだが、強い風が吹き、テントを張るのが大変だった。
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 フェアバンクスでアラスカハイウエーは終わる。この7日間のダート走行で私は疲れ切っていた。転倒する、石は飛んでくる、大型トレーラーの風圧にはあおられる。雨が降り続いて道路はドロドロだった。アラスカの国境を示す看板とそこから始まる完全舗装を見て、胸が熱くなったのを覚えている。また、そこに立った時は雨が降り、寒くてアラスカ入りするのにふさわしい気候だった。
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 都会生活に飽きた、また完全舗装のフリーウエイに飽きたアメリカ人がアラスカの自然とこのアラスカハイウエイに冒険を求めてやって来る。それほど昔のままの自然が残り、キャンピング場やレストエリアも自然を破壊しないように作られている。自然の中にいる自分の存在を感じることができる。
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