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オートバイの旅日誌(17) USA [3-USA]

オートバイの旅(玉井洋造の旅1976) 日誌


(17)-1976/10/02 USA


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1976/10/02    畑の中に空地
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 ますます陽が短くなり、7時過ぎにならないと明るくならない。昨夜は英語の夢を見てしまった。たくさんの夢を見たが、思い出したくない種類のものも多かった。
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 今朝は腹が重たく感じられる。100ドル札を20ドルに替えたので、75枚の札を腹に巻いている。少し多すぎた。それらは非常に汚れた紙幣で、新しいものをくれといっても、そんなものはないと言われてしまった。
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 古い紙幣は、アメリカ以外の国へ行ったとき、両替してくれなかったり、レートが低くなるので注意しなくてはならない。また、額面の低い紙幣は両替レートも低い。また、テープを張って修理してあるような紙幣はまず両替してもらえないから、要注意だ。
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 9時ごろ、ある田舎町へ入った。町は非常にきれいだった。しかし、人の姿はないし、車もあまり通らない。死の町のような感じを受ける。
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 ああ早く、アリゾナ、ユタ州の何もない世界(気温が高い砂漠の土地)へ行きたい。!!
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17000キロを超えて、バイクのパワーが落ちたような感じだ。カーボンが溜まったらしい。シリンダーとマフラーを外して掃除をしなくてはならない。最初の頃は6速5速が主なギヤだったが、今は5速4速を主に使用している。
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 USハイウェイ6号線を西へ向かい、畑の中に空地を見つけ、許可を得てキャンプができた。そこの主人と農業の話をして、トマトやトウモロコシをいただく。
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1976/10/03    ヨットクラブ
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 アラスカで知り合った人を訪ねるため早く出発した。すごい霧だ。さっぱり前方が見えない。シールドを外して走ると見やすいが、目が痛む。前方はいいとしても後方からの追突が怖い。左ウインカーランプを点滅させて進む。わずか100キロばかりの道を4.5時間もかかってしまった。
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 2時ごろ、クリーブランドに到着。町の東側はスラム街らしい。非常に汚い。黒人が多い。そのスラム街でガススタンドに入った。みんな親切だ。これから探していくロックリバーの場所を教えてくれた。黒い温かい手と握手して出発する。
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 突然、訪問したのでは失礼になるので、電話したところ、すぐに夫人が迎えに来てくれた。
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 夜、主人のジェリーがメンバーであるヨットクラブのレストランへ連れて行ってくれた。この家も週末は外で食事をするらしい。
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 ジェリーの家は大変裕福だった。みんな個室を持ち、来客用の部屋もあった。トイレは1階と2階に計4つもある。一人息子のバックは非常にバイクに乗りたがっていたが、夫婦そろってバイクは危険だと反対している。
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1976/10/05    ガレージの中
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 以前に手紙を書き、ぜひ来るようにと返事をもらっていたタイヤ会社を訪問する。広報部は粗末な建物で、路上で迎えられた。立ち話だ。別に建物の中にはいるように勧めてもくれない。役職の人に紹介するわけでもない。無理に会社のワッペンを渡され、さらに気分を悪くした。手紙をくれた人が昼食を食べようと家へ連れていかれた。ピーナツバターを塗ったパンが2枚だった。招かれていない客の私は、そうそう退却することにした。
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 延々とトウモロコシ畑が続く。50キロおきにレストエリアがあるが、「キャンプ禁止」とある。そこ以外には、まったくキャンプができそうなところがない。勇気を出して、ある農家へ行ってみた。牧草地のはずれでキャンプさせてくれないかと頼んだが、もちろんノーと大きな声で断られた。
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 もう一軒いてみたが「今夜は雨が降るんだ。忙しいからだめだ。だめだ。」とものすごい剣幕だった。
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 疲れていて、もう進むのが嫌になったので、道路と畑の間で草地で寝ることにした。もちろんテントを張るわけにもいかない。すぐにポリスに見つかってしまう。
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 暗くなるまで待て、テントを被って寝た。と同時に大粒の雨が降り始めた。雨水が体の下に入り込んでくる。でも、どうしようもない。
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 9時ごろ、一台の車が近づいてきて停まった。(ポリスがやってきた。)と思った。テントをめくって、覗くと若者だった。
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「雨が降っているし、この道はよくポリスが通るから、俺の家のガレージで寝ないか。」
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私は、すぐには返事ができない。
「そんなことしたら、あんたの家が迷惑だろう。」
「君は、ここが良いのか。」
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 雨に濡れながら寝るなんて、少しも楽しくない。彼の言葉が非常に嬉しかった。
 彼の家はすぐ近くだった。家の方向が車の向きと反対だったところから、雨が降りだしてから私のためにわざわざ来てくれたようだ。
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 彼の名前はポニー、21歳。奥さんはジョニー、20歳で、4か月前に結婚したそうだ。ジョニーが焼いたブルーベリーのパイをいただきながら、結婚式の写真を見せてもらう。10時半、ガレージの中でテント張って寝る。
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1976/10/06    一緒に夕食を
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 ポニーはまだ星が見える早朝、テントの中で寝ている私を起こさないように、静かに車を出して大学へ出かけて行った。
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 この日も雨だった。雨雲を避けながら、南に下ったり、西へ行ったりして、南西へ向かって走った。
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 グリーンスブルグの町でガスを入れたとき、店の主人が、一緒に夕食を食べないかと言ってくれた。ところが、彼が奥さんに電話したところ、その話はご破算になってしまった。彼はきまり悪そうな顔をしていたが、私は十分うれしかった。
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 夜、バイクの整備をする。チェーンがのびてしまっていた。1コマ切って、張りを調整する。

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